家族はケアし,ケアされるという非対称な関係から成り立っている

 03, 2015 05:13
障がいのある子を抱える親子関係は、ケアという視点が重視される。
 親子のありようはケアし、ケアされる関係を無限定に続けることの問題を前の引用では問題視していた。

 さて、本論文の引用は、第24回目となる。



【引用はじめ】

障害者家族におけるケアの特性とその限界 ―「ケアの社会的分有」にむけた検討課題―

中根 成寿(立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程)

『立命館産業社会論集』2005年3月

3 親密な関係の特性と限界

 加えて,家族におけるケア行為が成立する関係の特性が事件から読み取れる。
 中村[2004]は家庭内暴力の要因として家族という関係性の特性を指摘している。

 「…家族は親密な関係性,情緒的な関係性という特質を有している。
 感情的な応答,あるいは見返り報酬の期待が高いという関係である。
 親子関係・夫婦関係の双方において,こうした情緒的な満ちたりを期待する。
 (中略)家族は双方的で非対称な関係から成り立っている。
 夫婦関係・親子関係という二重に非対称な関係性である。
 親密な領域における他者との相補的関係は,他者を通して自己実現しようとする行動なのである。」

 家族関係は,ケアし,ケアされるという非対称な関係であり,さらにケアする者はケアされる他者によって自己のアイデンティティを強化する。
  母親,父親,親,子という家族を表象する属性を,ケアを巡る相互行為によって行為生成的に達成しつづけていくのである。
 家族はケアを巡 る相互行為によって家族リアリティを獲得し,ケアを通して家族であるという実感を生成していく。
 中村[2004]はこれを「情動家族」 と呼ぶ。
 ジェンダーの視点はこうした属性に基づく性別役割分業を発見し,批判してきたけれども,それを認識した上でもなお属性が生み出す役割に基づいて人は行動し,アイデンティティの充足を行うのである。
 親密な関係性において,互いの対等さを期待する正義論の分が悪くなるのは,非対称な関係性と役割に基づくアイデンティティのためである。

【引用おわり】



 本引用では、家族のケア関係によって相補的な情緒的なつながりを強固にすると述べている。
 そのような 「情動家族」は、親密性が増すことによって、非対称的な関係が当然といったことになる。
 いつまでも離れがたい関係になってしまう。
 ケアし、ケアされるばかりといった依存関係がいつまでも続けられるわけでない。
 親にも、子にも命がある限りどこかで終わりがくる。
 家族だけでなんとかなるものでない。だからこそ、社会的支援に頼る必要があるのだ。

(ケー)
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