親子心中という痛ましい出来事を無駄にしないために

 17, 2015 05:00
 田部井恒雄氏の手記を12回にわたって紹介してきた。
 知的障がいのある子をかかえて、自らもがんの告知を受けた母親が無理心中したことに関する考察である。
 その原因はなんだったか。
 いかにすれば今後こうしたことを防ぐことができるか。
 家族、きょうだい、施設職員、親の会、相談活動等のあり方について述べられた。
 平成16年当初の考察であるとはいえ、まだ施策が十分でない問題もあって参考になる内容である。

 以下は、そのまとめとして概要について引用する。
  


【引用はじめ】 

知的障害のある人の生きる権利と家族のケアなどについて =痛ましい出来事を無駄にしないために=

平成 16 年1月 田部井恒雄 知的障害通所授産施設職員 全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会会員

◯ 先日(お正月休み中)、私の勤務する知的障害者通所授産施設(東京都内)に通う利用者が亡くなった。

◯ お母さんが癌にかかり、ご自分と知的障害のある息子の将来を悲観した無理心中だった。

◯ このような出来事の原因として考えられる事 ・親御さんが心配事を相談できる所、精神的ケアをする所が不十分で、施設としてもそれを受け止 める事ができなかった。

◯ 家族への適切な支援と、親亡き後の施策が不十分な結果である。

◯ 親が心配事を相談できる所や精神的ケアをする所が、幾重にも必要。

◯ .施設が家族にとってより頼りになり相談し やすい工夫・努力が必要。

◯ .親の会がその会員同士の心のケアに努めるここと。

◯ ケースワーカーがより身近な存在となるように施設と行政の協働作業 を増やすこと。

◯ .知的障害者相談員も大切。

◯ .公的な相談専門機関の機能の整備・充実はとても大切。

◯ 障害に関係なく、PTAや町内会、趣味のサークルなど、障害と関係ない人間関係の中で、悩みを語り合う場面も考えられる。

◯ 個人的な友人や活動の仲間なども大切。

◯ 親は障害のある子供を 持ったことを自分の責任のように考えて、一心同体のようになってしまう。

◯ 母親は障害のある子供に時間も気持ちも掛かりきりになり、他の家族の事を考える余裕がなくなることが多い。

◯ 母親は孤立感を強める。

◯ 父親もきょうだいも、互いに遠慮してしまったりして、うまくかみ合わない事が多い。

◯ 障害のある子供の事は、それぞれ関わり方は違うにしても、家族皆が関わり合い、 家族同士が支え合っていくべき。

◯ 障害のある子供が生れて家族の絆が強まったという家族もいる。

◯ 心のゆとりが無く広い視野を持ちにくい状況にな っている。

◯ 家族自身が趣味を持ったり障害と関係のないところでの人間関係を充実していったりする。

◯ ショートステイやガイドヘルパーの活用をする。施設がそのサービスを拡充する。

◯ .「親亡き後」について、家族が実感できる、目に見える将来像が必要。

◯ 親は「きょうだいに世話をかけたら可哀相だ」と、きょうだいに親亡き後のことを話す事をタブー視している。

◯ 親亡き後 関わりを持てる肉親は主にきょうだい。

◯ きょうだいは親の苦労を見て育っている。

◯  きょうだいは、口には出さなくても、将来自分はどう関わればいいのかと、不安とともに戸惑 っている。

◯ きょうだいは、親とは違い、障害のきょうだいと精神的に少し距離を置い たところにいる存在。

◯ 「障害のあるきょうだいの独立」は、色々な 支援のもとでの暮らし方で、入所施設も含めた幅広いものでいい。

◯ 障害のあるきょうだいは、入所施設やグループホーム や、時にはホームヘルパーの支援で暮らしている。その形態に応じて、きょうだいの関わり 方は様々。

◯ きょうだいとしても、それまで何の話もなかった所に急に関わりを求められても困る。

◯ スムースに引き継いで欲しい。親はこのことに正面から向き合って欲しいの。小さい頃からの「家族の絆」が必要。

◯ そのための支援、つまり、母親だけではない家族全体への、精神的なケアと正しい知識、情報などが必要。

【引用おわり】



 多くの提案について、今できることから早急に対応していく必要がある。

(ケー)
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