まだ見ぬ仲間がどこかで私たちを待っている

 24, 2014 05:10
 ある地域の育成会はすごくがんばっているなと思われるところもある。
 しかし、別のところはほとんど活動らしい活動が行われていない。
 かつては頑張っていたらしいのだが、今はその活力が見られない。
 消滅寸前にあったり、もう活動らしい活動が全然実施されていないところまである。
 なんとかしたいと思う。

 そんな問題意識から、岡知史(2010)『セルフヘルプグループ(自主グループ)の組織としての5つの問題点』という、『講演記録』を引用し続けている。
 その第31回目。



【引用はじめ】

岡知史(2010) 『セルフヘルプグループ(自主グループ)の組織としての5つの問題点』
(島根県立大学短期大学部第8回現代GPフォーラム講演会記録)
http://pweb.sophia.ac.jp/oka/papers/2010/shimane/

★ 仲間意識、会員意識、帰属意識(2)

 はい、いかがだったでしょうか。

 お話しもそろそろ最後になってきましたので、最後に、この仲間意識ということについて、ちょっとお話ししておきたいと思います。

 この仲間意識が、同じ体験をもった人を仲間と思うこと、というのは、非常にセルフヘルプグループでは大切なことでしてね。
 これがいかに大切かということは、もうひとつの概念として、 「仲良し感覚」という言葉を使って区別するとわかりやすいと思っています。
 「仲良し感覚」というのは、「仲良しの人だけで集まる感覚」というように定義しておきたいと思います。
 これがどれくらい違うかということですが、「仲間意識」が典型的に出ているのが、こういう言葉です。
  「まだ見ぬ仲間がどこかで私たちを待っている。」

 私は、この言葉にすごく感動しましたね。
 つまり自分たちの仲間というのは、まだ、会ったこともない人たちを含めて考えていらっしゃるわけですよ。
 たとえば、病室で、孤独な毎日を送っている仲間がいる、という言い方をされるわけですね。
  まだ、会ったこともないのに、仲間だ、という感覚をもっていらっしゃる。

 だから、たとえば、アルコール依存症で精神病院に入院中の人たちに会って、あるいは飲酒運転のために刑務所で服役中の人に会って、私たちといっしょに、お酒をやめていきましょうと、「みんな仲間ですよ、同じ体験をしてきたんですよ」と、励ますわけですね。
 これ、本当に素晴らしいボランティア活動でしょ。外に向かって、開かれたグループなんですね。

 ところが、同じセルフヘルプグループといっても、そういうグループばかりとは限らないですね。
 私は、いろんなグループの集まりを見せてもらいましたが、逆に、ちょっと悪い例を話しますとね、あるアルコール依存症のかたの集まりに出させてもらったときのことです。

 「いま精神病院から出てきたばかりなんです」と、奥さんに連れられて、会に初めて参加している男性がいるわけですね。
 目がうつろで、いまにも、すぐに自動販売機の前で、ガッと一杯、飲んでしまいそうだというような、すごく不安な顔をして苦しそうに変な汗をダラダラ出しているような方でした。
 横の奥さんも同じく、すごく緊張してね。
 この一週間、いや、この日いちにち夜まで、お酒を飲まずにすごすことができるんだろうか!って、きっと祈るような気持ちで、夫の背中をさすってあげているわけですよ。

 で、そういう、いま生きるか死ぬかの瀬戸際ですよね。
 そういう夫婦の前で、そこの集まりで、どういう話がでたかというと、信じられないかもしれませんが、プロ野球の話だったわけですね!
  「いや、巨人が勝ったね」とか、「優勝はどこかな」とかね。
 あとは「寒くなりましたね」とか。
 あとは「なんかどこそこで大きな交通事故があったそうですね」とか。
 どうなっているんだろうと思いましたけど、要するに雑談なんですよ。

 で、いつになったらアルコール依存症の話になるんだろうと思ったら、「まあ、僕も、やめたばっかりのときは辛かったけど、いまは大丈夫です。いまは辛いかもしれませんが、がんばってください。」と。
 まるで他人事なんですね。
 どうなっているんだろうと思いましたね。

 誤解のないように言っておきますけど、アルコール依存症の人たちの会って、こういう会ばかりじゃないですよ。
 たとえば、島根県には島根県断酒新生会という素晴らしい会があって、実は、去年の8月に、その2泊3日の断酒学校というワークショップがあって、私、そこに参加させていただいていたんですが、素晴らしい会だと思いますよ。
 で、そういう素晴らしい会もある一方で、そうではない会もある、ということなんですね。

 (続く)

【引用おわり】



 本当に困っている人に対して、ニーズに合った活動がなされていない。
 即効性のある活動そのものができない状況にある。
 会員たちは何がニーズかを真剣に考えていない。
 ただ、なんとなく集まって世間話に花を咲かせておしまいと安易な集まりになってしまっている。
 必要に応じた役割を忘れてしまっている。
 これでは、会の目的が十分果たせていない。その危機感に欠けているところがある。

(ケー)
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