入所施設における重度高齢者への対応のあり方

 17, 2014 05:31
 知的障がい者の高齢化について、以下の論文を取り上げている。
 その第14回目。
 2001年に書かれた論文だから、10年以上前のものである。
 障がい者制度改革が目まぐるしく変わってきたので、当時を先取りした論文といえる。

 引用にあたっては、著者には失礼と思ったが、趣旨を変えない程度に直している。
 次のような文章の直しをした。
 1 修飾語が多かったので、省略した部分がある。
 2 文章が長かったので、短文化した。
 3 「~と思われる」との語尾を断定語に変えた。
 4 読みやすいように一文ごと段落で区切った。

 ひょっとすると、著者にとって不本意だろう。
 それよりも、ブログ読者にとってわかりやすくしたかったからである。
 ご理解のほどを。正確性よりも、わかりやすさを優先させた。
 そういう意味で、その責は本ブロガーにある。


【引用元】
美作女子大学・美作女子大学短期大学部紀要 2001,Vol.46,1~15
知的障害者高齢化問題の新たな展開(II)
A New Development of Service Programs for Aged Persons with Intellectual Disabilities (II)
滝 本 豪 徳


【引用はじめ】

5.この時期のひとたちと施設の役割

 以上をまとめてみると重度の中高齢者が主に入所施設の利用者という点から医療,療育,介護のサービスを提供できる生活施設という役割をもっている。
 また、中高齢期の早期老化対応が可能であるという役割がある。
 それに高齢グループホームを併設し、あわせて地域の中高齢者対応としてケースマネージメントが可能であるという役割をあわせもつことが期待される。
 こうした役割をもった施設を新しくつくる必要は基本的にはないと思われる。
 現在の入所更生施設を変えていけばよい。
 おそらく重度者が主に利用できる高齢者棟というイメージで入所更生施設を変えていく。
 それに地域対応でケースマネージメントができるように必要な事業を併設する。
 そしてケースマネージャーを配置すればすむことである。
 逆にこれは今後とも入所更生施設の生き残れる数少ないオプションのひとつと思われる。
 全国あるいは各地域の知的障害者福祉協会の入所更生部会などでこの論議の実務的な詰めを集中討議していただくことを期待したい。
 さらに、以上の役割をになった新しい施設の課題を例示していこう。

(1) まず重度の人たちが利用者の中心となるのでこれまでより一層医療,リハビリテーションそして早期老化予防の分野を重視して処遇を進めることが必要になる。
 特に重度の中高齢者のリハビリ,老化防止に関しては未開拓の分野で医療,リハビリ関係者の中でもこの分野を専門に扱うスペシャリストが今後多くでてくることを期待していきたい。
 施設現場で直接支援に従事してきた人たちで利用者の早期老化に直面したひともいる。
 そのとき相談できる医療関係の専門家から適切な助言がえられずにそのまま早期老化の進行をみとどけるしかなかった経験をした人は少なくないと思われる。

(2) 重度者のいきがいとQOLの向上のためプログラムの充実を図っていくこと。
 一般的には成人重度者のQOL論議の重要性が広範に認識されるようになったことはいいことである。
 特にひとりひとりの重度者の暮らしとQOLを大事にすることである。
 この観点から中高齢期に施設で暮らす重度者の必要に応じて個別の援助計画をQOLをふまえて作成していくことが望まれる。

(3) それに関係して,施設での暮らしの充実が求められる。
 施設のバリアフリー化を一層すすめさらに個室の確保など施設設備面で改善すべき点が多くある。
 また、施設日課の充実という点で従来の作業中心の日課を緩和して昼間日課の多様化を図る必要がある。
 特に難しいとされている重度者の参加可能な余暇プログラムの一層の充実をのぞみたい。

(4) その中で重度の人たちにとっての権利擁護とは何かを問うていくこと。
 重度のひとたちにとって自己決定あるいは重度者の当事者参加の可能性を真剣に検討していくこと。

(5) さらにそうした重度の人たちが参加できる地域参加プログラムの充実ということがあげられる。
 これらのことは成人重度の人たちに特にあてはあまることである。

(6) 従来から臨床実践の場で研究されてきた早期老化問題への対応で重度者を中心にさらに掘り下げて検討していくこと。
 特に重度者の老化問題に関してはこれまで高齢化した重度,最重度のひとたちが少なかったため実態の解明,処遇方法など十分に検討されてはこなかった。
 今後施設内で検討すべき大きな課題であると言える。

(7) あわせて地域からこの時期に早期老化が原因で受け入れる中高齢知的障害者の受け入れ準備を整備していくこと。
 地域から受け入れるケースについては特に施設移管前後のプログラムの充実が求められる。

(8) そのためケースマネージャーを配置して日常から地域の障害系,高齢系のネットワークに精通することである。
 さらに、必要に応じて地域の知的障害高齢化問題への対応が可能になるようにすることである。
 そして今後は施設の利用者,地域の利用者にその情報提供さらにコーディネートサービスができること。
 そのためには施設,地域両面での情報処理能力を高め,知的障害高齢化問題の福祉情報化を進めて行くことなどが求められる。

【引用おわり】



 重度高齢者においても、地域生活が受け入れることができる施策を整備することが大きな課題となっている。
 そのためにも中高齢者から受け入れられる、利用等サービス計画の作成が必要である。
 地域に受け皿がないからできないといってあきらめるのでなく、今ある資源を活用しながらより良い生活をモデルを創造することである。
 さらに、受け皿の必要性を訴えていくなどの両面作成が必要である。
 
    
(ケー).
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