高齢者処遇の方向性を前向きにとらえる

 18, 2014 05:10
 本育成会の大きな課題の1つとして、高齢化の問題がある。
 家族の高齢化はもちろん、障がいのある本人も高齢化してきているのが現実だ。
 これに対して、親亡き後といった言葉で語られることはある。
 育成会会員一人一人多かれ少なかれ気にしていることは確かである。
 これが地域内でなかなか顕在化してこない。あくまでも個人的問題で終始しているきらいがある。まとまった意見として、行政を動かしたり、関係者を動かすまでいたってない。
 その解決といっても個人や家族でできることはごく限られている。

 そこで、こうした高齢化問題のあり方について検討している以下の論文を紹介している。
 その第10回目。



滝 本 豪 徳 著
知的障害者高齢化問題の新たな展開(I)
A New Development of Service Programs for Aged Persons
with Intellectual Disabilities (I)
美作女子大学・美作女子大学短期大学部紀要
 2000,Vol.45,10~18



 本論文は、知的障がい者の高齢化について問題点を大まかに洗い出したものである。
 前編という位置づけで、後編では高齢者問題の新たな展開を取り上げると述べている。



【引用はじめ】

6.高齢化問題における支援の枠組みの再検討

 高齢者処遇の方向は変容が要求されている。
 それは、知的障害のある人たちへの援助に関する新たな視点を前向きに受入れる必要からである。
 ノーマライゼーションの理念を一層進めて高齢期になっても地域で生活をしたいという人たちへの援助のあり方について考える。
 例えば、高齢期利用者の権利擁護の問題に関すること。
 さらにはノーマライゼーションという援助の理念それ自体をQOLという観点から再構成していこうという試みなどである。

 平成12年4月からは公的介護保険制度の実施がなされる。
 しかし在宅地域サービス利用の高齢期の知的障害者では64歳までは適用除外という形で導入が図られることになっている。
 高齢期の知的障害者の中で公的介護保険の適応が予定されているひとたちの場合と、適用除外になる人たちの場合がある。
 それぞれに予想される問題の検討とそれへの対応が急がれている。
 この問題は従来から論議はされてきた。
 介護ニーズとして一般高齢者と知的障害のある高齢者とで共通している部分と異なる部分とがあり,その点をふまえた上でのサービスネットワークの統合という問題の一部となっている。
 基本的にはプログラムの多様化と支援システムの統合ということが原則と思われるが,実際に次年度以降実施という具体案についての検討とは別問題である。

 その意味で現在の高齢者処遇のあり方を問うことは多くの複雑で多様な問題を検討することが必要である。
 従来は知的障害者の高齢処遇は健康管理・医療ケアの充実,後退防止,生きがいと余暇活用の充実,さらに高齢棟など適切な施設選択など施設ケアを中心として比較的わかりやすいものであった。

 さて本稿では総論的に高齢化問題の概説を試みたが実際には高齢化のプロセスにあわせて検討する部分と課題別検討とで構成される各論の論議で具体化される必要がある。
 本稿の続編ではそれらの中から,課題をあえて幾つかに絞り,入所更生施設での日常実践の方向づけさらにそれを地域生活支援へと変えていく部分を中心に幾つか課題を検討し,新たな展開をより具体的に考察していきたい。

 
【引用おわり】



 本論文の(1)前編の紹介は今回をもって終わる。
 次からは、(2)後編を紹介する。より具体的な内容について触れるので期待してもらいたい。
 今までは、概念的な内容が多く、ちょっととっつきにくかった。
 次からは、身近な内容が展開されるはずである。
 
(ケー)
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