入所更生施設利用者の一層の高齢化

 16, 2014 05:00
 本育成会の大きな課題の1つとして、高齢化の問題がある。
 家族の高齢化はもちろん、障がいのある本人も高齢化してきているのが現実だ。
 これに対して、親亡き後といった言葉で語られることはある。
 会員一人一人多かれ少なかれ気にしていることは確かである。
 これが地域内でなかなか顕在化してこない。あくまでも個人的問題で終始しているきらいがある。まとまった意見として、行政を動かしたり、関係者を動かすまでいたってない。
 その解決といっても個人でできることはごく限られている。

 そこで、こうした高齢化問題のあり方について検討している以下の論文を紹介している。
 その第8回目。



滝 本 豪 徳 著
知的障害者高齢化問題の新たな展開(I)
A New Development of Service Programs for Aged Persons
with Intellectual Disabilities (I)
美作女子大学・美作女子大学短期大学部紀要
 2000,Vol.45,10~18



 入所更生施設においても利用者の高齢化が進んでいる。
 それに対する課題を以下に取り上げている。



【引用はじめ】

5.入所更生施設利用者の一層の高齢化

 知的障害者施設実態に関する調査報告で顕著な事実は入所更生施設における利用者の高齢化が進行したということであろう。
 知的障害のある人たち全体の実態を調査した結果では高齢化の傾向は明瞭に指摘されているが比率という点ではまだそれほどではない。
 しかし施設,特に入所更生施設の利用者に関しては高齢化はきわめて顕著な傾向となっている。

 最近の厚生省研究班の入所更生施設実態調査によると,かつての基準である40歳以上の人たちを高齢者とすると47.2%,現在よく用いられる50歳以上のひとたちを高齢者と考えても22.2%に及んでいる。
 開設以来一定の時期の経過している施設では平均年齢が40歳を越えて50歳に近づいているところも多い。

  一方で高齢棟,高齢者対応の入所施設では60歳代から70歳代の利用者が続々登場してきており最高年齢を競いあうような状況にいたっている。
 そしてこのような傾向は今後更に強まると予想されている。

 入所更生施設で高齢利用者が急増しているという事実はそこでの援助のあり方全体に関し一定の見直しが迫られていると考えられる。
 すなわち高齢者ニーズの急速な量的拡大の結果,高齢者支援の問題はかってのような一部で少数の高齢利用者の問題ではなくまた同様に一部の高齢棟建設等を試みてきた少数の施設の問題ではなくなりつつある。
 現在高齢者問題は入所更生施設に関係するすべての人たちの関心事になっている。
 ここでは更生施設として本来の利用者の自立を目標とした指導訓練中心の機能を果たすことが困難になっているという共通認識が存在する。
 それにかわって生活施設として暮らしの内容を充実し,QOLを高める機能が求められている。

 これらの問題をめぐり入所施設関係者のあいだでは長い期間そのあり方の検討が続けられてきた。
 現在は社会福祉基礎構造改革の論議との関連で継続して入所施設のあり方がさらに検討されている。
 ここで重要なことはいまは検討,論議の時期からそれらを実行に移す時期になってきているということであろう。

 ただし社会福祉基礎構造改革自体に関して言えば国,自治体とも財政の逼迫した時期に実施ということになるので方向づけとして妥当であっても実際には財政支出削減イコール公的責任放棄のかたちになりやすい部分がある。
 このことは大きな問題である。
 それが現行制度をまもることにより公的責任の後退抑止につながる。
 現状維持派の言い分の裏付けになっている。
 今後の基礎構造改革論議においてこの点を特に注意深くみていく必要があろう。

【引用おわり】



 高齢化が進むことによって、指導訓練中心の機能から、QOLを高めることに機能を移すことが求められている。
 それは、国家政策においても根本的な見直しを図らなければならない。
 
(ケー)
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