運動機能面に障害をもつ人たちの高齢化

 13, 2014 05:33
 本育成会の大きな課題の1つとして、高齢化の問題がある。
 家族の高齢化はもちろん、障がいのある本人も高齢化してきているのが現実だ。
 これに対して、親亡き後といった言葉で語られることはある。
 会員一人一人気にしていることは確かである。
 これが地域内で顕在化してこない。あくまでも個人的問題で終始しているきらいがある。まとまった意見として、行政を動かしたり、関係者を動かすまでいたってない。

 そこで、こうした高齢化問題のあり方について検討している以下の論文を紹介している。
 その第5回目。



滝 本 豪 徳 著
知的障害者高齢化問題の新たな展開(I)
A New Development of Service Programs for Aged Persons
with Intellectual Disabilities (I)
美作女子大学・美作女子大学短期大学部紀要
 2000,Vol.45,10~18



 障がい者別による高齢化について取り上げている。前回は、ダウン症者について。今回は運動機能に障がいのある重複障がい者を取り上げている。



【引用はじめ】

4.成人後期における後退ないし老化問題の検討

(2) 運動機能面に障害をもつ人たちの場合

 知的障害に加えて重複障害として,たとえば脳性麻痺など,運動機能面に障害をもつ人たちが40歳代に入る。
 すると、まず歩行,移動面に,その後身体機能の各側面に急速な後退現象が出てくることがある。
 このことは経験的によく知られているがこれを重複障害の障害程度が重度化したというべきか。
 運動機能面に障害をもつ人たちの場合の早期老化現象というべきか。
 その診断に関し論議のわかれるところである。
 いずれにせよここでは特徴的に身体機能の障害が重くなり歩行,移動が困難になる。
 それにより生活空間が狭くなり生活の領域が縮小されてくる。
 心理的にも不安,焦り等のため情緒が不安定になり課題へ取り組む意欲の減退がみられる。
 それによりますます身体機能が低下し一層の日常生活行動の後退が進むという悪循環を引き起こす場合が少なくない。
 こういう例ではパターン自体は比較的分かりやすいが進行の速度が早いことが多い。
 一連の後退現象が急速に進行してしまうという問題がある。
 そこでこうした問題に対応するには,個々に異なる身体機能障害の重度化,生活領域の縮小,さらに心理面の情緒の安定などそれぞれに個別の対策を考える。
 後退防止の可能な部分は少しでも予防,防止の可能性を探るように援助することが原則である。
 こうしたケースの障害の重度化が一層進むとここでも重介護型のケアが必要となる。
 またそのような特別なケアをうける人たちのQOLの問題をどうするか。
 さらに現行の施設の基準でこうした人たちへの支援がどこまで可能であるのか検討すべき問題は多い。

【引用おわり】



 運動機能に障がいのある重複障がい者が、早期に機能低下を引き起こすこと対策は十分行われているとはいえない。
 同時並行的に身体機能低下、生活領域の縮小、情緒不安が急激にあらわれる。
 こうした問題を見込んで常日ごろより予防策を講ずることが求められる。
 重度化が進行したらそのケアのあり方が問われている。

(ケー)
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