FC2ブログ

Photo Gallery

 成年後見人の医療同意権は、軽微な医療行為に対して肯定的である。
 ただ、重大な医療行為の時難しい。
 そうなると、どうすればいいか。
 
 以下の引用では、「後見プラン」の活用が述べられている。
 第54回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(4) 医療同意権の有無をめぐる学説の到達点

(ⅱ) 成年後見人の医療同意権を肯定する見解(p..185)

 成年後見人の医療同意権の可否について検討してきた。
 しかし, 現行制度の下では,比較的軽微な医療行為に対しては,解釈により,後見人に医療同意権を付与することは可能ではある。
 重大な医療行為について医療同意権を付与することは難しいといわざるを得ない。
 しかし,実際, 軽微なものではなく,重大な医療行為であるがゆえに,同意が得られず, 医療行為が行えないという事態が生じやすい。
 その点の対策こそが重要で あるといえる。
 私見によれば,この点について,後述の「後見プラン」 に医療行為を含めることによって対応できると考える。



【引用おわり】

 成年後見人の医療同意権が認められるように、事前に「後見プラン」を作成しておく。
 それによって、医療行為への対応を記述する。
 そうしたことで、重大な医療行為の同意権が成年後見人に認められるのだろうか。
 そのあたりの根拠を知りたい。      
                      
(ケー)
 成年後見人の医療同意権に関しては、諸説あって現在定説といえるものがない。
 しかし、緊急時に際し何らの処置をしないということは許されない。
 
 以下においては、同意権の肯定的な上山説を取り上げている。
 第53回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(4) 医療同意権の有無をめぐる学説の到達点

(ⅱ) 成年後見人の医療同意権を肯定する見解(p.184~p..185)

 医療同意権を成年後見人に認める説の中で,医療行為について,最も具体的に述べている上山説を以下に取り上げる。
 上山説では,「本人の同意能力(判断能力)の有無」 ,「本人の意思への違背の有無」 ,「医的侵襲行為の危険性の程度」という三つの視点に基づく一定の制約を課したうえで,成年後見人の医療同意権を限定的に肯定すべきとしている。
 この説では,まず,「利用者が同意能力を欠く状態にある」ことを絶対条件とする。
 その上で成年後見人は本人意思尊重義務(民法858)に基づき,本人のありうべき意思を推測しつつ,適切な医療を選択するべきであるとする。
 さらに,「医的侵襲行為の危険性の程度」については,成年後見人の医療同意権の範囲を本人への侵害の程度の小さい(危険性の低い)医的侵襲行為に限定すべきであると考える。
 具体的には ① 「病的症状の医学的解明に必要な最小限の医的侵襲行為(触診,レントゲン検査,血液検査等)」と
 ②「当該診療契約から当然に予測される,危険性の少ない軽微な身体的侵襲(熱さましの注射,一般的な投薬,骨折の治療,傷の縫合等)」に関しては,医療契約締結に関する代理権を持つ成年後見人等の医療同意権を肯定してよいと考える。
 また,当該行為が本人の推定的意思に合致するか,あるいは少なくともこれに反しない場合には,
 ③「健康診断及び各種検診(ただし,重大な手術に匹敵するような危険性のある検査は除く)」と
 ④「各種予防接種の受診」についても医療同意権を認めてよいとする。
 ただし,「重大な医的侵襲行為」の実施に関しては,ドイツ世話法と同様,裁判所の許可等のセーフティー・ガードを導入すべきとする。



【引用おわり】

 以上において、上山説における医療同意権の必要十分条件が述べられた。
 但し、医的侵襲行為が重大な危険性がある場合は、例外だとしている。
 当然な結論と言える。     
                      
(ケー)
 成年後見人の医療同意権に対する意見は諸説ある。

 肯定的な意見を以下の引用では述べている。
 第52回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(4) 医療同意権の有無をめぐる学説の到達点

(ⅱ) 成年後見人の医療同意権を肯定する見解(p.184)

 医療同意権を成年後見人に認める多くの説に共通していることは,本人に判断能力がないことを前提に,軽微な医療行為については,成年後見人の医療同意権を認めてもよいとしている点である。
 しかし,その根拠の違いから,医療同意権の範囲について,それぞれ違いが生じている。
 能見・川井説,赤沼説では,その根拠を治療・手術の意味を民法 858条の身上配慮義務に求めるため,現行法では,その範囲を全面的に医療同意権が認められるとするが,立法論として重大な治療に対しては裁判所(赤沼説は裁判所以外の審査機関とする)の許可を要件とする。
 床谷説では,その根拠を客観的必要性に求めるため,その範囲を通常人であれば医師の治療を受ける必要があると判断すると考えられる範囲としている。
 さらに,須永説では,臓器の摘出,生命維持装置の撤去は成年後見人の医療同意権の範囲外であるとする。
 また,不妊治療については, 例外的に許容されるにすぎないとする。



【引用おわり】

 以上、成年後見人の医療同意権を肯定する説の根拠は、立場によって様々だ。
 その前提は次の二つ。
 1 成年被後見人が判断能力がないこと。
 2 軽微な医療行為であること。

 その根拠も次の二つ。
 1 民法858条の身上配慮義務とする説。
 2 医師の治療を受ける必要とする説。    
                      
(ケー)
 成年後見人による医療同意権は、法理的には否定されている。

 それについては、以下の引用で詳細に説明している。
 第51回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(4) 医療同意権の有無をめぐる学説の到達点

(ⅰ) 成年後見人の医療同意権を否定する見解(p.183~p.184)

 法務省民事局参事官室の考えでは,成年後見人の医療同意権を明確に否定する。
 この立場では,仮に医療機関側から成年後見人に対する医的侵襲行為への同意を求められたとしても,成年後見人にはこれに応じる義務も権限もない。
 成年後見による同意は,私法上は何ら意義を有しないとする。
 その上で,同意能力なき成年被後見人に対する医療同意の問題は特別な立法を欠く現状では,社会通念のほか,緊急避難,緊急事務管理等の一般法理を援用して対処すべきとしている。
 治療の緊急性が高い場合には,緊急避難や緊急事務管理の法理を援用する。
 一般的治療行為については,主に患者の推定的承諾(推定的同意)の法理を援用する。
 (被害者の現実的の同意が存在しない場合であっても,推定される被害者の意思に合致する行為については,その法律上の責任を免責するという法理を援用する。)
 そのことで,それぞれ治療の正当化が図られるということになる。
 つまり,当該行為に対する事後的評価として,その違法性ないし責任阻却をすれば足りるとする説である。



【引用おわり】

 以上の見解は、医療行為の緊急性が高い場合は、緊急避難的な措置として成年後見人の同意を認めるという解釈である。     
                      
(ケー)
 前回、成年後見人は医療行為の同意権を認めていいという説を取り上げた。
 それも一定の条件に基づくものであったが。
 その説明は、以下の引用でも取り上げている。
 しかし、それは法的根拠に基づくものでない。
 成年後見人にそうした同意権を認めるのは問題とする説も以下において取り上げた。

 第50回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(3) 成年後見と医療同意権(p.182~p.183)

 大阪弁護士協同組合は,「必要に応じて成年後見人が医療行為に同意することもありうる」としている。
 また,千葉家庭裁判所の「成年後見人のしおり」では,「親族がいない場合,親族からの協力が得られない場合,緊急を要する場合,病院が特に求める場合には,救命に必要な医療措置として手術や治療への同意を求められたならば,後見人がその権限に基づいて,同意したり,同意書を書くことは差し支えないと考えられます」としている。

 これらはいずれも,同意能力がなく,かつ家族もいない者に対する医療行為をいかにして可能とするかを考えた場合,成年後見人がその職務を行うものとしてふさわしいとしたものである。
 しかし,上記2例は,その法的根拠については何ら示されておらず,また,被後見人に同意能力がなく,かつ家族がいないという条件の下で,全面的に後見人に同意権を認めることは,例えば,成功率30パーセントの手術の同意に際して,上記2要件を満たせば,成年後見人独自の判断で決定することができることになり,成年後見人に大きすぎる権限を与えることになる。
 そこで,成年後見人の医療同意権の有無,範囲について,多くの学説が主張されている。



【引用おわり】

 成年後見人の医療行為に対する同意権には定説がない。
 そうなると、いざという時、医療現場において判断に困る。
 医事従事者に責任が重くのしかかる。
 混乱しない制度を早急に策定すべきだ。                         
                      
(ケー)
 成年後見人は原則医的侵襲行為の同意はできない。
 ただ、以下の引用のような見解をとっている事例がある。

 第49回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(3) 成年後見と医療同意権(p.182~p.183)

 成年被後見人に治療が必要となった場合,成年後見人は医療機関と医療契約を締結することはできる。
 しかし,この履行として実施される具体的な医的侵襲行為(注射,手術等)については,直接には干渉できないとしている。

 この現状に鑑みて大阪弁護士協同組合は,「必要に応じて成年後見人が医療行為に同意することもありうる」としている。
 また,千葉家庭裁判所の「成年後見人のしおり」では,「親族がいない場合,親族からの協力が得られない場合,緊急を要する場合,病院が特に求める場合には,救命に必要な医療措置として手術や治療への同意を求められたならば,後見人がその権限に基づいて,同意したり,同意書を書くことは差し支えないと考えられます」としている。



【引用おわり】

 以上のように、成年被後見人に対して、成年後見人が医的侵襲行為の同意を認めてもいいとする条件は、まとめると次のとおり。

 1. 親族がいない場合
 2. 親族からの協力が得られない場合
 3. 緊急を要する場合
 4. 病院が求める場合                        
                      
(ケー)
 成年後見人は医療行為に関してどの程度の権限があるか。
 医療契約ができるが、医的侵襲行為の同意はできないとされている。

 それが以下の説明である。
 第48回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(3) 成年後見と医療同意権(p.182)

 成年被後見人に治療が必要となった場合,成年後見人は医療機関と医療契約を締結することはできる。
 しかし,この履行として実施される具体的な医的侵襲行為(注射,手術等)については,直接には干渉できないとしている。



【引用おわり】

 以上が原則である。
 ただ、緊急時の場合は例外的とする考え方もある。
 それは次回で紹介する。                       
                      
(ケー)
 成年後見において、医的侵襲行為に関する同意権が後見人に認めるのは時期尚早とされる。

 それが以下の説明である。
 第47回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(3) 成年後見と医療同意権(p.182)

 法務省民事局参事官室では,次のような見解を示している。
 「成年後見の場面における医的侵襲に関する決定・同意という問題は,一時的に意識を失った患者又は未成年等に対する医的侵襲に関する同意・決定と共通する問題である。」
 「それら一般の場合における決定・同意権者,決定・同意の根拠・限界等について社会一般のコンセンサスが得られているとは到底いい難い。」
 「そうした現状の下で,本人の自己決定及び基本的人権との抵触等の問題についての検討も未解決のままである。」
 「今回の民法改正に際して成年後見の場面についてのみ医的侵襲に関する決定権・同意権に関する規定を導入することは,時期尚早といわざるを得ないものと考えられる。」としている。



【引用おわり】

 以上のように、自己判断ができない状態にある人たちに、第三者代理人が医的侵襲行為の同意をすることは認められないとの判断が下されている。
 しかし、緊急時あるいは軽度の医的侵襲行為は、例外的に扱われているようだが。
 医師にとっては重大な判断が課せられる。                      
                      
(ケー)
 成年後見人の医療に関する役割は次の引用のとおりである。

 第46回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(3) 成年後見と医療同意権(p.182)

 成年後見人には本人のために医療契約を締結する権限が与えられ,医療の履行を監視する義務が存する。
 さらに精神保健福祉法では保護者とされ (同法20条),医療保護入院の同意権(同法33条1項),治療を受けさせる義務(同法22条)などが定められている。
 しかしながら,現行法上,成年後見人が行わなければならないのは,成年被後見人の介護に対する手配と 見守りまでである。
 医療行為の同意権はないものと解するのが通説である。



【引用おわり】

 上記の引用をまとめると、成年後見人の役割は次のとおり。
 1 医療契約の締結。
 2 医療の履行の監視。
 3 介護の手配・見守り。
 4 医療行為の同意権はない。                      
                      
(ケー)
 インフォームドコンセントという言葉は非常に重要視されるようになった。
 医師が患者に対して、病気のことをわかりやすく説明することが義務づけられたからである。
 その場合、患者が説明を聞いて、その説明に同意しなければならない。
 インフォームドコンセントは、「説明と同意」と訳される。
 癌患者などには、こうした対応がなされるようになっている。
 患者自身ばかりでなく、親族にも説明がなされることも多い。
 特に、患者自身が判断能力に問題が生じている場合などである。
 知的障害者などはそれに含まれる。

 以下の引用で、そのことを説明している。
 第45回目の引用となる。
  


【引用はじめ】
kitatani.pdf

知的障害者の立命館法政論集 第11号(2013年)
立命館法政論集 第11号(2013年)
知的障害者の「親なき後」への成年後見制度の活用
北谷優輔 (法学専攻 リーガル・スペシャリスト・コース)
立命館法政論集 第11号(2013年)

第4章 身上監護への対応

2.医療の実態

(2) 親と医療同意権(p.181~p.182)

 「医師には,医療行為を実施するにあたり,その見込まれる結果について,説明し,承諾を得る義務がある。」
 「説明義務の範囲ないし程度は,具体的事情によって異なることは当然である。」
 「侵襲や危険性の程度が小であるとき,緊急事態で説明したり承諾を求めたりする余地がない。」
 「そのとき,説明によって患者に悪影響を及ぼし又は医療上悪影響をもたらすと きなどは説明を省略し又は可能な程度で説明することで足りると解される 。」
 「患者本人でなくその家族に対する説明とその承諾で足りる場合もあると解するのが相当である」と判示している。
 一定の範囲の親族が同意した場合には,違法性がないとしている。



【引用おわり】

 医師が患者の理解と信頼を得るためにも、医療方針について「説明と同意」を行う必要がある。
 それが医療行為を円滑に進めることにもなる。                     
                      
(ケー)

WHAT'S NEW?