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 障がいのある人との関わりにおいて大事なことが以下の引用に述べられている。
 障がいのある人は、何も出来ないという思い込みこそ問題という指摘である。
 それは軽度の人だけでない。
 重度重複障がいのある人も同様である。
 何か出来る人との前提でお付き合いすることである。
 それがあれば、手がかりが見出せるはずだ。
 相手の反応に対して、ゆっくり待つことがまず必要である。

 本論文の紹介は第49回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

2-1 発信行動に受信者が勝手に意味づけようとしている

B-6 受信者の関わりを改善する(先読みを防ぐ,反応を待つなど)

 障害のある人を「何も出来ない人」と捉えるのではなく,「何か出来る人」と捉えることが重要である。
 「何も出来ない」と考えれば,「こちらが気持ちを汲み取ってあげなければ」という発想に結びついてしまう。
 そうなると,彼らの意思を汲み取る必要性はなくなるだろう。
 この繰り返しにより,障害のある人は訴える必要性を感じなくなり,あるいは,訴えることに無力感を感じるようになっていく。
 一方,「彼らも彼ら自身の方法で訴えている」と考えることが出来れば,支援者が意思を汲み取る努力をすることになるだろう。
 このことが障害のある人たちの自分で何かを訴えたいという気持ちを引き出していくだろう。
 発信者の反応を待って観察してみよう。
 心の中で「1,2,3,,,,」と10まで数える気持ちが大切である。
 その間に訴えが見えることもあるはずだ。

(つづく)

【引用終わり】



 どんなに障がいが重い人であっても、何らかの形で意思表示があるはずだ。
 その前提で支援者は関わることである。
 もちろん明確にはわかりにくい。
 それでも、余裕ある対応を繰り返せば、こうした場合はこんな形の反応だということがわかってくる。
 そうした細部にわたる観察を行うことだ。
 特に、快・不快の様子について明らかにすることが重要である。
  
  (ケー)
平成28年度「家族と支援者が共に学ぶセミナー」のご案内です。

この事業は、手をつなぐ育成会・知的障害者福祉協会・重症心身障碍児(者)を守る会が
合同で行う研修会で、今年度が第二回目となります。

日時:平成28年11月2日(水) 午前10:00~午後3:00
会場:山形市総合福祉センター 2階交流ホール 山形市城西町2-2-22

合同セミナー1


今年度のテーマは
「支えあいながら共に生きる社会をつくるために」
となっております。

今年7月に相模原市の津久井やまゆり園で起こった悲惨な事件が
多くの人々に大きな障害を与えました。
そのなかでいち早く障がい者にかかわる立場から、
いかなる時も障がい者を守っていくというメッセージを出してくれた
「全国手をつなぐ育成会連合会」の久保厚子会長を講師にお迎えし
講演をしていただくことになりました。
 
午後からは、親としての立場や、支援学校、事業所の立場からの意見をお伺いし、
会場を巻き込んだ討論の場としてシンポジウムを開催いたします。

シンポジストとして
特別支援学校に通う親の立場から
鶴岡養護学校中学部 保護者
鶴岡手をつなぐ親の会会員    長谷川 薫 氏

事業所に通う親の立場から
山形市手をつなぐ育成会 会長 伊豆田公蔵 氏

特別支援学校の立場から
山形県米沢養護学校  校長  大原 良紀 氏

施設・事業所の立場から
 山形県総合コロニー希望ヶ丘
      しらさぎ寮    寮長  鈴木ひとみ 氏

助言者 
 全国手をつなぐ育成会連合会会長 久保 厚子 氏 

コーディネーター
 山形県知的障害者福祉協会会長  井上  博 氏

合同セミナー2


以上となっております。

参加費:無料

参加申し込み締め切り:10月21日(金)

お問合せ・申込 大会事務局
山形県知的障害者福祉協会 事務局(石川)
山形県山形市緑町1-9-30 緑町会館4階
山形県社会福祉事業団事務局内
 TEL:023-664-0256 FAX:023-623-9123
E-mail y-fukukyo@ysj.or.jp

※県内育成会事務局にはメールでもご案内をしております。
 各育成会ごとに取りまとめて申し込んでいただいても結構です。
 山形県手をつなぐ育成会事務局でもお問合せやお申込みを受付します。

この機会に私たち育成会の会長の生のお話をお聴きになってみてください。

  
ご訪問ありがとうございます。事務局(F)

 
 発信と受信の関係づくりがあってこそのコミュニケーションである。
 発信者の思いが受信者に十分伝わらないことは往々にしてある話だ。
 発信者の身振り・ことば等が不明瞭だったりする。
 それに対して、受信者はさまざま試みて、発信者の意図を探る必要がある。
 発信者の要求に的確に応えられるようにする。
 簡単にはできないことも多い。
 受信者が満足できたとしたら成功である。 

 本論文の紹介は第48回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

2-1 発信行動に受信者が勝手に意味づけようとしている

 発信があるが,意味が分からない場合,受信者は周囲の状況から様々な意味づけをその発信に与えようとする。
 例えば,のどから搾り出すように「あー」と声を出せば,「水が欲しいの?」と多くの介助者が考え,水を飲ませる。
 しかし,本当は「ジュース」を飲みたかったのかもしれない。
 このように,障害があり,コミュニケーションに制約を受けると「飲み物は何でも同じで,とにかく飲ませることが重要」といった具合に選択肢が制限されることになる。
 これでは当事者の意思を正しく引き出したとは言えない。

 また,受信者の能力が高ければ発信者の信号が不明でもコミュニケーションを作り上げることが出来る。
 これは長期的にみれば問題があると考えられる。
 しかし,すべてが悪いとは言い切れない。
 コミュニケーションの楽しさを味わってもらい,外界への働きかけを強めるという点では意味がある。
 時期に応じてバランスよくこの2つのコミュニケーションのスタイルを使い分けることが大切である。

(つづく)

【引用終わり】



 発信者がどんな時に、どんな行動をしたか。
 受信者はそれに対してどんな対応をしたか。
 それによって、発信者はどんな反応だったか。
 ていねいに観察し、記録することだ。
 そうした積み重ねから、発信者の意図を明確にしていく地道な取り組みが重要である。
  
  (ケー)
 発信があってもその意味が分からない。
 発信もいろんな形で行われる。
 泣くこと、身振り、不明瞭な音声、行動等なかなかうまく伝わらない。
 その中でも、分かりやすいものを見つけて意思疎通を図っていくことである。
 最も単純なYes・Noなどについて明らかにできるようにするのだ。 

 本論文の紹介は第47回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

2 発信はあるが,意味が分からない

 何か一生懸命訴えるのに意味が分からないことがある。
 「何を拒否しているのだろう?」,「なぜ泣くのだろう?」,「あの身振りはなんだろう?」,「何か声で訴えているのに不明瞭で聞き取れない」,「行動で何か訴えているのは分かるのに?」と我々受信者が悩むのと同時に,「どうして分かってもらえないのか?」,「訴えても無駄かな?」と発信者も感じているはずである。

 コミュニケーションの不成立はストレスのかかるものである。
 そのため,分からない発信に意味づけしようと試みる人もいるが,そのことがさらにコミュニケーションの誤解を増大させる。
 そのため,相手の発信を分析し,適切な手段で意思を読み取る必要がある。

想定される具体例:
 •拒否が何に対する拒否か分からない
 •身振りで訴えてくるが意味が分からない
 •声が出ているが何の意味か分からない
 •勝手に行動するが理解出来ない

(つづく)

【引用終わり】



 食事場面などにおいて、好き嫌いなどの意思表示が一番取り組みやすい。
 要求度の高いものから始めるのが基本である。
  
  (ケー)
明日開催の「山形県知的障がい者レクリエーション大会」の準備のため
本日(27日)午後から事務局が留守になります。


(昨年の様子) 前日準備
H27知レク準備 (5)


(昨年の様子)パン食い競争
P9161958.jpg


なお、明日は大会当日ですので、朝から閉局します。
ご不便をおかけしますがどうぞよろしくお願いします。

ご訪問ありがとうございます。事務局(F)


 以下に引用した事例は、日中ぼーっとしている重複障がいのある子だ。
 盲で知的障がいがある児童。
 日中活動水準が極めて低レベル。
 自立的活動ができず、全介助という状況である。
 その改善を図るため、保育士・母親・医師等が連携して、生活リズムを整えるようにした。
 夜寝て、日中は活動する生活リズムに変えることができた。
 そうするまでの支援のあり方が以下に述べられている。 

 本論文の紹介は第46回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-6 生活リズムのずれ

 生活リズムがずれ,普段周りが活動している日中に寝てしまったり,活動性が低かったりするとコミュニケーションそのものへの関心も低下してしまう。
 まず,生活リズムを整えることが重要である。

M 医学的な対処

T-16 医療と連携して生活を見直すことにより本人の生活のリズムを整える

 対象は知的障害を伴う盲の男児,4歳のDくん。
 週に3回母子で肢体不自由の通園施設に通っている。
 Dくんはまだ自力で歩くことが出来ず(手引き歩行は可),日常生活動作も全介助である。

 Dくんは,保育に参加している時にぼーっとしていることが多く,午前中から寝入ってしまうことも少なくなかった。
 保育士がお母さんから生活の様子を聞いてみると,
 (1) 夜寝入るまでに時間がかかってしまいいつまでも起きている。
 (2) 通園に通わない日は,昼頃まで寝ている。という状況だった。

 保育士はお母さんと相談し,以下の様に生活のリズムを整えることを提案した。
 (1) 通園に通う日もそうでない日も同じ時間に起こす。
 (2) 通園に通わない休みの午前中に近所の散歩や買い物などの活動を必ず入れる。
 (3) 夜寝るまでの時間に決まったパターン(ルーティン)を作り,寝る準備や予告をしていく(夕食→入浴→音楽を聞く→寝室に行く)。 また園の担当医と相談し,夜寝る時に睡眠薬を服用することにした。

 生活の中での活動の改善と投薬で,Dくんが通園時間中に寝てしまうことはほとんどなくなった。

(つづく)

【引用終わり】



 盲の障がいがあると、どうしても昼夜逆転現象が起きがちである。
 こうなると、育児する側にとっても不都合である。
 家族は、夜寝ないということで相手しなければならない。
 また、日中における通園施設での活動も半眠状況になってしまう。
 こうした障がいのある子は生活リズムを整えることから始めることが重要である。
 日中に活動できることが学習の基礎ともなるからだ。
  
  (ケー)
全国手をつなぐ育成会連合会の機関紙
「手をつなぐ」9月号が届きました!

今月号は、7月に相模原市で起こった悲しい事件を受けて
障がい者は不幸を作るだけの存在などではない!
という強い思いから、幸せな笑顔があふれそうな写真の数々が掲載されていますし、
神奈川県横浜市での全国大会の特集が収められています。

手をつなぐ9月(縮小)

みなさんの幸せそうな写真については、
全国手をつなぐ育成会連合会からの急な提案にも関わらず、
全国から300枚もの素敵な写真が送られてきたそうです。
私ももちろん送りました(^^♪

掲載されている写真は残念ながら200枚ほどになってしまったそうですが、
みなさんの思いが伝わる写真がたくさん掲載さています。
ちなみに、私が送った写真も載っておりましたし、ほかの会員さんの写真も掲載されておりました。
また、全国のつながりのある会員さんたちも続々掲載されているようです。

昨日の手をつなぐ育成会東北ブロック大会でも、何度も相模原の事件の話題が出ておりましたが、
「障がいのある子がいると大変かもしれないけど不幸じゃないよ」
というメッセージは、育成会から強く発信していかなければならないと思いました。
だってよく見てください!みんな本当に幸せそうな笑顔ですもの!

手をつなぐ9月(縮小2)

「手をつなぐ」は今日発送いたします。

ご訪問ありがとうございます。事務局(F)

 生活リズムが昼夜逆転などのある障がい児は、コミュニケーションに問題を生ずる。
 日中活動がほとんど行われない。
 そうなると、周囲からの働きかけも少なくなってしまう。
 コミュニケーションが低調である。
 なにがそうさせているか分析することだ。
 以下に、その原因に関するヒントを記している。 

 本論文の紹介は第45回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-6 生活リズムのずれ

 生活リズムがずれ,普段周りが活動している日中に寝てしまったり,活動性が低かったりするとコミュニケーションそのものへの関心も低下してしまう。
 まず,生活リズムを整えることが重要である。

M 医学的な対処

M-1 医療機関への相談

 生活リズムを整える上で大切なことは,「なぜ昼間寝てしまうのか?」という原因を分析しておくことである。
日中の活動そのものが保障されておらず,活動することがないのかも知れない。
 視覚的な障害のため昼と夜の区別がつきにくいのかも知れない。
 この様な場合は,しっかりと日中の活動ができるような生活の見直しが必要である。

 しかし,日中の活動の保障だけでは解決しないこともある。
 その様な場合医療機関へ相談し,薬を含めた治療を検討してもらう必要がある。

 また,てんかんの治療薬などにより薬物治療をしている場合は,薬の影響があることもある。
 投薬の量や種類が変更され日中の活動に支障があるような変化がある場合は,日頃の様子を担当医に伝え,相談することが大切である。

(つづく)

【引用終わり】



 昼と夜の区別がつかないというのは、視覚障がいがあるからという原因が考えられる。
 また、日中活動が不十分のせいといったことも原因かもしれない。
 あるいは、薬物が原因している場合もある。
 いずれにしても、医療機関と連携した対応が必要である。
  
  (ケー)
 障がいのある子にとって、わかりやすい環境設定をすることは重要だ。
 やるべき内容の順番とか量を本人もわかるようにする。
 以下の事例は、やるべき課題に集中しやすい物理的環境を整えた。
 それが功を奏した。
 今まで、なかなかうまくいかなかった。
 その結果、パニックを引き起こしていた。
 課題を行う場所とか、課題となるペーパーの順番・量がきちっと把握しやすくした。
 以下にどうしたかを説明している。 

 本論文の紹介は第44回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-5 環境条件が悪い

E コミュニケーションのための環境整備

T-15 適切に環境を整備することにより本人が情報を理解出来るようになる

 対象児は,知的障害をもつ自閉症児で小学校の特別支援学級に在籍する小学校3年生のI男である。
 コミュニケーションはダイナモとコミュニケーション用のカードを活用していた。
 家庭での個別学習では,課題を実施するときにも,落ち着きがなくうろうろすることが多かった。
 課題を無理やりさせようとすると,パニックになることがあった。
 課題を実行するだけの力はもっていると考えられることから,何を期待されているのかが分からないことが課題に集中出来ない原因であると考えられた。
 そこで,今からすべき課題を明確にするために,机を部屋の門に置くようにし,気が散るようなことがないように正面と右側を壁にし,左側に課題を置くための三段ボックスを置いた。
 また,左側には終わった後の課題を片付ける箱も用意した。

 今からすべき課題は三段ボックスの中に上から順番に置いてあり,それらを順番にすることで課題がなくなっていくことが分かるようにした。
 また,課題も始まりと終わりが分かりやすいものにした。
すべきことが分かり課題に集中出来るようになると,そのとき見られたパニックは見られなくなり,落ち着いて最後まで課題に取り組むことが出来るようになった。
 期待されていることが理解出来るように環境を整えることでうまくいった例である。

(つづく)

【引用終わり】



 障がいのある子が課題遂行のたびにパニックになる。
 そうであれば、そのやり方になんらかの問題がある。
 その問題の本質を明らかにしなければならない。
 そもそも、課題そのものが本事例にとって難しすぎる。
 あるいは、量が多過ぎる。
 課題に対して興味がない。
 他の課題をしたい。
 こうしたことを踏まえ、課題集中ができる対策を練ることだ。
 特に、上記の例のように物理的環境を変えるみるのは、とても有効である。
  
  (ケー)
 次に引用した事例は、視覚障がいがあるといってもそれをただうのみにすることなく、支援方法を工夫したものである。
 眼科医の診断では光覚とされた。
 しかし、周囲の人たちが見ている限り、もっと見えている可能性があると判断した。
 そこで、本事例ができる紙屑をゴミ箱に捨てる行動に着目して、見え方の評価をしてみた。
 以下の視機能を評価する方法は画期的である。
 さらに、その成果が日常活動を広げることにもつながった。  

 本論文の紹介は第43回目である。 



【引用はじめ】

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/article/self_determination/report02.html
第1部 障害のある人の自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル
     主任研究者 中邑賢龍(香川大学)
     分担研究者 中野泰志(慶應義塾大学)
              坂井聡(金沢大学大学院)
              岩根章夫(姫路市総合福祉通園センター)
              中澤惠江(国立特殊教育総合研究所)

自己決定・自己管理を引き出すためのマニュアル

1-5 環境条件が悪い

E コミュニケーションのための環境整備

T-14 視機能評価に基づく視環境の整備により本人の活動が広がる

 対象は,光しかわからないと言われていたhさん。
 hさんは,視覚障害と知的障害があり,眼科では光覚と診断されていた。
 光覚と診断されているが,周囲の行動観察では時々もっと視覚を活用しているような様子が見られるとのことであった。
 そこで,視環境を変化させながら,どの程度視覚活用が可能かを評価することにした。
 しかし,hさんは,通常の視機能検査の課題には興味を示さなかったため,系統的な行動観察から視機能を評価した。

 評価方法として,紙屑をゴミ箱に捨てることが可能であったことに着目し,紙屑を拾い上げる行動から視力を評価した。
 おやつ(チョコレート)を一つ食べ終ったら,紙屑を片付けることにし,紙屑の大きさを変化させ,どれだけ小さな紙屑まで眼で確認できるか(そのときの視距離も同時に測定)を調べた。
 角膜に白斑があることから,白黒反転効果が予想されたため,黒いテーブルクロスに白い紙屑の条件と白いテーブルクロスに黒い紙屑の条件の2条件を設定した。
 なお,手探りで紙屑を発見したときには,分析から除外した。

 紙屑拾い課題はすぐに理解してくれた。
 その結果,黒いテーブルクロスに白い紙屑の条件では,0.5cmの紙屑を15cmの距離から視認可能であった。
 これは,視力に換算すると,0.009に相当する。
 また,白いテーブルクロスに黒い紙屑の条件では,テーブルクロスに眼を近づけるのを嫌がった(まぶしいことが予想される)。
 視認できた最小の紙屑は2cmで,そのときの視距離は20~25cmであった。
 これは視力に換算すると,0.003~0.004に相当する。
 この視力は通常のランドルト環を用いた視力とは意味が異なるが,hさんにとってどの程度の大きさの物が情報となり得るかを予測することが出来た。
 また,白黒反転条件で視力評価を行った結果,hさんの場合,黒い背景に白い物を提示した方がよく見える(白い背景に黒い物を提示するときの半分以下の大きさで視認可能)ことが分かった。
 これらの結果から,10cm程度まで近づけば,条件が悪く(背景が明るい条件)ても1cm程度の大きさの物は発見できることが予測出来た。
 また,作業をする際には,黒いテーブルクロスに白っぽい物を提示すれば効果的であることが分かった。
 例えば,食器を白やクリーム色にし,黒や濃いブルーのテーブルクロスの上におけば,視認しやすいことが予想出来た。

 以上のことから環境整備への応用を考える。
 視機能評価の結果,光覚という診断を聞いて私達がイメージするよりももっと高い視覚活用能力が,彼女にはあることが分かった。
 これは,視覚を活用したかかわりを自信を持って展開してもよいことを示唆してくれた。
 また,10cm離れていて1cm程度のものが発見できるというように,彼女がどれだけ見えるかを具体的に把握することが出来た。
 この結果は,hさんにより適した教材を作ったり,提示したりする際の具体的な目安となり,hさんも日常生活で視覚を活用するようになった。
 さらに,黒い背景に白いものを提示(白黒反転)した方が見やすいことから,屋外などの明るい場所ではまぶしくて見えにくいはずであることがわかり,サングラスを紹介したところ,屋外で単独で行動することが出来るようになり活動が広がった。
 このように,視機能評価に基づいて視環境を整備すると,行動の意味(なぜ見ようとしなかったのか等)が分かったり,活動が広がったりすることがある。

(つづく)

【引用終わり】



 この子は単に視覚障がいがあるから、これもあれもできない。
 だから、みなやってあげないと思いがちである。
 上記の例からよくよく行動をみていると、できているところがある。
 それを手掛かりにさまざま試みる。
 そうすると、予想外のことができることがわかったりする。
 知的障がいだって、そうしたことがありそうだ。
 知的障がいあるから、あれもこれもできないと思いがち。
 みなこちらで段取りしてしてあげる。
 ただ、本人は受身のまま、してもらうだけとなってしまう。
 しかし、してやっていたことが本当だとできることだってある。
 そこを、私たちは見逃している可能性がある。
  
  (ケー)

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