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レズリー大学の知的障害者プログラムの具体的内容

 18, 2018 05:00
 レズリー大学において知的障害者を大学に受け入れているメリットはたくさんある。
 そのメリットを生かすことで、卒業後の社会生活の営みを充実したものにしている。

 以下において、そうした内容が詳しく述べられている。  
 本報告書の引用は第66回目だ。
  


【引用はじめ】

file:///C:/Users/仁/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/ZKHT9TQV/kaigaishisatsu.pdf
諸外国における 知的障碍者の大学進学 ~アメリカ・カナダ・オーストラリア・韓国の現状~
社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会 海外知的障碍者高等教育研究班
長谷川 正人・長谷川 美栄・志免木 章・井手 祐輔/他
2016年11月30日

第1章 アメリカにおける知的障碍者の大学進学

第5節 大学における知的障碍者受け入れの具体的な取り組み状況

1 レズリー大学「Threshold Program」

 一般の大学生とは分離したクラスで授業を行っているが、クラスは違っても、キャンパスの中で様々な学生たちと学び交流するということを重要な課題として取り組んできた。
 例えば、他の学生たちと一緒にカフェテリアなどで食事をしたり、ジムに行って一緒に運動をしたり、学内の演劇部やコーラス部に所属し、一緒に活動に参加するなどの交流が見られる。
 このような Threshold Prgram のいいところは、学生たちが自分と同じ境遇の友だちを作ることができ、授業の中で自分と同じ境遇の学生たちの行動様式などを互いに学び合う機会があるということである。
 またもう一つのメリットして、教員が、こういった障碍を持った学生たちに対する教育方法等についての専門的な教育訓練を受けているため、指導が非常に上手であるということがあげられる。
 したがって、このプログラムに参加する学生にとっては、彼らのニーズを理解している教員たちによって、彼らの今後の生活などに必要な授業を非常に綿密に大学のキャンパスの中で受けられるという利点がある。
 一方、大学にとっては社会的なつながりでそういった障碍のある学生たちをキャンパス内に迎え入れ、障碍者と健常者が互いに交流する場を提供することにより、人権教育やインクルーシブな社会の構成員として一般の学生たちを育成することができるというメリットがある。
 例えば、健常の学生と知的障碍のある学生とが、キャンパス内で直接的にふれあうことで、「怖い」とか「近寄りがたい」「関わりたくない」などといった偏見や差別意識が解消するとともに、障碍を持っている人も自分たちと同じ人間なのだという認識を高めるのに役立っている。
 また、実際に知的障碍の人と接する際の接し方についても学ぶ機会となっている。
 例えば、相手の目を見て話すとか、できるだけ身振り手振りを使って話す、会話のきっかけはどういう形で話を始めるかなど、知的障碍者とのコミュニケーションの取り方などについて、キャンパスの中で、体験的に学ぶ機会になっている。
 こうした体験的な学びは、将来の職業生活、社会生活においても、知的障碍者と関わるときに役立っている。
 また、知的障碍者に対する教育や支援に関する専門家である mentor(指導員)がプログラムの中に位置づけられており、プログラムに所属している知的障碍学生の状況を常に把握し、知的障碍学生を担当する教員に適切な助言や指導を行っている。
 mentor は、大学卒業後も、彼らが、地域社会に溶け込んで、健常者の人たちとうまくコミュニケーションが取れているか、料理や通勤など大学で学んだライフスキルを生かしてアパートで問題なく生活ができているかなどについて状況を確認し、必要に応じてアフターケアを行っている。
 このように、Threshold Programの特徴のひとつは、大学卒業後の充実した社会生活の確立を想定して学んでいるということである。



【引用おわり】

 以上のように、障害のある学生と一般の学生との交流は、授業以外の様々な場面で行われている。
 ごく自然な触れ合いによって、相互の理解を進めることができる。
 教員側も障害のある学生のニーズに合った対応に努力することになる。
 インクルーシブな教育環境づくりは、大学全体の雰囲気をより良いものにすることに貢献している。     

 (ケー)
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